エンジニアプラスチックとは？特徴・用途を徹底解説
近年、産業界ではエンジニアプラスチックが「金属に代わる次世代材料」として注目を集めています。従来の汎用プラスチックと異なり、高い耐熱性・耐薬品性・機械的強度を備えており、自動車・航空機・電子機器・医療機器など幅広い分野で利用されています。本記事では、エンジニアプラスチックの基本的な定義から代表的な種類、特徴、用途事例までを徹底的に解説します。
エンジニアプラスチックとは何か
エンジニアプラスチックとは、一般的なプラスチックよりも機械的特性や耐熱性に優れた高機能樹脂の総称です。日本産業規格（JIS）でも材料特性に基づく規格が定められており、構造部材や機能部品として使える性能を持ちます。汎用プラスチック（PE、PPなど）が100℃以下での使用を想定するのに対し、エンジニアプラスチックは150℃以上の環境でも安定した性能を維持できるものが多いのが特徴です。
エンジニアプラスチックの主な特徴
- 耐熱性：150℃以上でも使用可能な種類が多い
- 耐薬品性：酸やアルカリ、溶剤に対する優れた耐性
- 機械的強度：金属に匹敵する引張強度や剛性
- 寸法安定性：温度変化や湿度の影響を受けにくい
- 電気特性：絶縁性に優れ、電子機器部品に最適
特に耐薬品性や寸法安定性は、化学プラントや精密機器において欠かせない要素です。さらに詳しい耐薬品性の比較については、フッ素樹脂の耐薬品性に関する解説記事で詳しく紹介しています。
代表的なエンジニアプラスチックの種類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| POM（ポリアセタール） | 高い機械強度と耐摩耗性 | ギア、ベアリング、機械部品 |
| PC（ポリカーボネート） | 高い透明性と衝撃強度 | 光学レンズ、電子機器筐体 |
| PBT（ポリブチレンテレフタレート） | 電気特性と耐熱性に優れる | コネクタ、自動車電装部品 |
| PPS（ポリフェニレンサルファイド） | 耐熱性・耐薬品性に優れる | 自動車部品、産業機器 |
| PEEK（ポリエーテルエーテルケトン） | 超耐熱・高強度 | 航空宇宙部品、医療機器 |
エンジニアプラスチックの用途事例
エンジニアプラスチックは、以下のような分野で利用されています。
- 自動車産業：軽量化と燃費改善のために金属部品からの置換が進む
- 電子機器：絶縁性や寸法安定性を活かしたコネクタや筐体
- 医療分野：耐薬品性を活かした滅菌可能な器具
- 航空宇宙：高温下でも性能を維持できるPEEKなどが使用
特に軽量化と高機能性の両立が求められる自動車・航空機分野では、今後も需要の拡大が見込まれます。
フィリールマテリアルの取り扱い材料
フィリールマテリアルは、フッ素樹脂材料を中心に、PCTFE、PTFE、PFA、ETFEなど高性能なエンジニアプラスチックを幅広く取り扱っています。これらの材料は、耐熱性・耐薬品性・低摩擦性といった特性を兼ね備え、化学プラント、自動車部品、医療機器、電子部品など、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。また、独自の加工ノウハウにより、高精度な切削や成形にも対応しているため、試作から量産まで一貫したソリューションを提供可能です。
エンジニアプラスチックの選定ポイント
- 使用環境温度の確認（高温下ではPEEK、PPSなど）
- 接触する薬品の有無（耐薬品性が必要な場合はPTFEやPFA）
- 機械的強度の要件（ギアにはPOM、耐衝撃にはPC）
- コストとのバランス（高性能ほど高価だが寿命も長い）
こうしたポイントを踏まえた選定方法については、プラスチック材質選定ガイドでさらに詳しく解説しています。
よくある質問（FAQ）
A. エンジニアプラスチックは、自動車や航空機分野で「軽量化」と「耐熱性」が同時に求められる部品に金属代替として利用されます。特にPEEKやPPSは高温環境でも性能を維持でき、エンジン周辺部品や電子機器の絶縁部品で活用されています。金属との比較については金属とプラスチックの比較記事で詳しく解説しています。規格に関してはJIS公式サイトをご覧ください。
A. 材料選定では、使用環境温度・薬品接触の有無・必要な強度・コストのバランスを確認することが重要です。例えば耐薬品性が必要な場合はPTFEやPFAが適しています。選定手順についてはプラスチック材質選定ガイドで解説しています。
まとめ
エンジニアプラスチックは、従来のプラスチックを超える耐熱性・耐薬品性・機械的強度を持ち、幅広い産業分野で不可欠な存在となっています。種類ごとの特性を理解し、用途に応じて最適な材料を選定することが成功のカギです。今後も金属からの置換や新しい産業用途の拡大により、需要はさらに高まっていくでしょう。
